NTT東日本と情報処理推進機構(IPA)は4月21日、契約やユーザー登録不要で利用できるシンクライアント型VPN「シン・テレワークシステム」の無償提供を始めた。新型コロナウイルスに関する政府の緊急事態宣言や在宅勤務への社会的要請を受け、筑波大学やKADOKAWA Connected、ソフトイーサなどの通信の専門家と連携して開発したという。
オフィスや大学などにある遠隔操作したいPCと、自宅のPCに専用アプリをインストールすることで、リモート先のPC画面を自宅から操作できる。ルーターやファイアウォールの設定は不要で、通信はSSLによる暗号化で守られるとしている。システムは実証実験という位置付けで、10月31日まで利用できる。
この施策は、NTT東日本内に仮設された新型コロナウイルス対策プロジェクト特殊局が企画を取りまとめ、IPAの産業サイバーセキュリティーセンター技術研究室が主な開発を行った。
システムは、筑波大学が2007年に開発したスケーラブルなストリーム中継処理プログラムをベースに改良を加え、オープンソースのVPNソフトウェア「SoftEther VPN」のコードを合体。数十万〜数百万ユーザー程度の規模に対する可用性を実現できるようプログラムした。VPNソフトなどを開発するソフトイーサは、同社が培ったクライアントとサーバサイドのアプリケーションコードを無償で提供した。
通信の中継には筑波大学が東京都内の電話局に敷設した40Gbps級の光ファイバー網と、動画サイト「ニコニコ動画」のバックボーンネットワークを運営するKADOKAWA Connectedが持つ1Tbps級のネットワークを利用する。
NTT東日本はサービス品質について、「今回のシステムは商用サービスではなく、複数の組織との連携で研究開発中の試験的プログラムや限られたリソースの基に、一時的かつ緊急に提供するもの」とした上で、「不具合があった場合には早急に改善を試みるが、一般の商用サービスに比べて対応の優先順位が低くなるために改善に時間を要したり、改善できない場合もある」と断りを入れている。
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