植松被告「間違いありません」起訴内容認める相模原殺傷事件で初公判 - 毎日新聞 - 毎日新聞

　相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、利用者ら19人を殺害し、26人を負傷させたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた元同園職員の植松聖（さとし）被告（29）は8日、横浜地裁の裁判員裁判（青沼潔裁判長）の初公判で起訴内容に間違いがないか問われ、「ありません」と述べて認めた。弁護側は被告には精神障害があり、その影響で責任能力が失われていたか、著しく低下していたと述べ、無罪を主張した。

　重い知的障害などがある人たちが入っていた福祉施設に元職員が侵入し、45人を次々に襲撃した事件は、当時の責任能力の有無と程度を巡って検察側と弁護側がそれぞれの主張をすることになる。

　植松被告は事件後の精神鑑定で自分を特別な存在と思い込む「自己愛性パーソナリティー障害」などと診断されている。人格障害の一種だが、一般的に物事の善悪を判断して行動をコントロールすることは可能とされ、検察側は完全責任能力があると判断して被告を起訴していた。起訴後に行われた地裁による鑑定でもほぼ同じような結果が示されたとされる。

　一方、被告は事件の約5カ月前に措置入院した際に「大麻精神病」と診断され、事件後の尿鑑定でも大麻の陽性反応が出ていた。弁護側はこうした大麻の影響を踏まえ、事件当時の被告は自らの行動をコントロールできる状態になく、仮に可能だったとしても行動を制御する能力が低下していたと主張するとみられる。

　公判は双方の冒頭陳述を経て、事件当時の精神障害の有無や事件に与えた影響を調べた鑑定人らへの質問、被告人質問などが行われる。複数の予備日を含めて26回の公判日程が準備され、3月16日に判決を言い渡す予定だ。被害者参加制度を利用して被害者の家族らも法廷に立つ。

　事件を捜査した神奈川県警は「遺族の強い要望」を理由に被害者の氏名を公表しない異例の措置を取っていた。横浜地裁も公開が原則である法廷で被害者の名前を明らかにしないことを決定。死亡や負傷程度などによって被害者を甲、乙、丙の3グループに分けたうえ、それぞれにアルファベットを割り当てて「甲A」「乙B」などと呼ぶという。

　起訴状などによると、植松被告は16年7月26日未明、同市緑区の津久井やまゆり園の通用口から敷地に入り、窓ガラスを割って居住棟に侵入したうえで刃物で利用者らを次々と襲撃。入所していた10～70代の男性9人、女性10人を殺害し、26人に重軽傷を負わせたとされる。侵入時に柳刃包丁など刃物5本を所持し、刃物を見せて「騒いだら殺す」と園にいた職員らを脅して結束バンドで拘束したうえで、利用者を殺傷したとされる。【中村紬葵、国本愛】

2020-01-08 02:42:08Z
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