高齢化や人口減少が進み、インフラの整備や改修が十分に進まないという状況を、各地で目にするようになりました。特に財政基盤がぜい弱な地方の自治体にとってはより深刻です。こうした中、大分県のある自治体では、そうした課題をむしろPRすることで支援につなげようという動きも出ています。その取り組みとは?(大分放送局記者 佐々木森里)
“お化け屋敷”に見立てたのは…
実はこれ、老朽化した庁舎を“お化け屋敷”に見立てた自虐的な内容で、いま、ひそかに話題を集めています。
大分県南東部に位置する人口およそ1万7000人の津久見市。野球ファンの中には、プロ野球ヤクルトで投手として活躍した川崎憲次郎さんの母校で、高校野球の古豪として知られる津久見高校で名前を知っているという人も多いのではないでしょうか。
動画の舞台となった市の庁舎は、昭和33年に建てられ、築60年以上の歴史があります。市の担当者に案内してもらうと、壁についたいくつもの雨漏りの跡や、タイルがはがれた階段など、いたるところがボロボロの状態です。
なかでも、特に驚かされたのが、昼間でも薄暗い廊下です。節電で電気をつけていないためですが、動画以上にリアルな怖さがありました。
求められる「防災拠点」の役割
しかし、必要な費用は建物だけでも約30億円。一方で、市が充てられる庁舎建て替えのための基金は、約6億円。厳しい財政事情で、建て替えは、ずるずると後回しになってきたといいます。
しかし、悠長なことを言ってはいられない事態になりました。
それは、2017年の台風18号です。市内の広い範囲が浸水し、市役所も1階部分に大量の土砂が流れ込みました。直後は業務が行えず、災害時の拠点としての在り方が問題になったのです。
そこで目を付けたのが、「ふるさと納税」の制度でした。津久見市に寄せられた寄付額は、2018年度の実績で4490万円余り、十分に活用できているとは言えない状況があったからです。
津久見市商工観光・定住推進課 秦野貴光さん
「なんとかして津久見市という名前を知ってもらうことを考えたときに、市の庁舎が古いというのを自虐的な形でPRしてみてはどうかと」
ふるさと納税が窮地を救う?
こうして決まったPR動画の制作。市内の児童や生徒に出演を依頼するなどして可能なかぎり予算を切り詰め、費用は120万円に抑えました。
巨大ないけすで育てた養殖ブリ「ひろびろいけすぶり」に、風味豊かで甘みたっぷりの「みかん」や「かぼす」。ほかの自治体にひけをとらない魅力的な「お礼」を老朽化した庁舎にちりばめました。
もちろん、庁舎の建て替えに向けた返礼品なしの純粋な寄付も呼びかけられています。
動画の最後は、「お化け屋敷」風のナレーションでこうしめくくられます。
「この老朽化した市役所をふるさと納税によって復活させられることをあなたたちはまだ知らない」
この動画は、4か月前に動画投稿サイトに投稿され、じわじわと再生回数を伸ばしています。津久見市もハロウィーンの時期に合わせて、撮影で使用したセットを庁舎内で公開するなど、動画を軸にPRを強化させています。
津久見市商工観光・定住推進課 秦野貴光さん
「徐々にではあるけど、津久見市の名前が広がっている感じですね。動画をさらに広めていきたいです」
競争激しい自治体動画
今回の津久見市の動画について、次のように評価しています。
ぐろ~かるCM研究所 鷹野義昭さん
「古い庁舎という本来であれば恥じることを、あえて“お化け屋敷”という形で窮状を訴える勇気と判断は見事です。動画が話題になれば、市民もこの問題に目を向けるきっかけになるのでは」
担当者によりますと、動画の効果もあって、津久見市の今年度のふるさと納税の寄付額は、昨年度の2倍のペースに増えているということです。
課題や弱点を逆手にとった津久見市の取り組みが今後どう展開していくのか。注目して取材を続けていこうと思います。
大分放送局記者
佐々木森里
平成27年入局
人口減少に向き合う各地の取材に奮闘中
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February 13, 2020 at 03:37PM
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