兵庫県加西市がすべての正規職員から特別定額給付金10万円を寄付してもらうことを前提に、新型コロナ対策のための基金を新設した。西村和平市長から寄付をお願いされた職員はさぞ複雑だろう。市は「額も含めて強制ではない」と釈明するが、どうなのか…。 (稲垣太郎)
「全正規職員からの寄付を積算根拠とした基金なら、職員は寄付しなければならないとプレッシャーを受ける。そんな説明は市からなく、十分な議論もせずに賛成したことを反省している。今後の議会や委員会で対応したい」。井上芳弘市議(共産)は悔やむ。
この「市みんなで支え合う新型コロナウイルス感染症対策基金」を設立する条例案は十一日、市議会の全会一致で可決。基金約七千七百万円のうち約六千万円は、全正規職員から十万円ずつの寄付を見込んでいる。ほかは市長ら特別職、市議の報酬などをカットして用意する。
市総務課の民輪幸則課長は「市民にも寄付に協力してもらうために、市職員も頑張っているというメッセージを伝えたかった」と説明する。西村市長が登場する動画と、市長名の文書で職員に寄付を求めた。市職員組合の村岡智之委員長は「組合としては個人の意志で寄付をすることを前提に、協力していくと市と確認した。積算額はあくまで目標と認識している」と語る。
ほかの自治体でも「十万円」をあてにした動きが出ている。
広島県の湯崎英彦知事は四月二十一日の囲み取材で「(新型コロナ対策に)必要な財源が圧倒的に足りない。十万円を活用することを検討したい」と発言。職員から十万円を召し上げるという受けとめが広がり、翌日に「言葉の使い方が悪かった」と軌道修正した。奈良県の荒井正吾知事は四月二十三日の定例記者会見で、臨時県議会に提案する新型コロナウイルス対策基金に「県民が特別定額給付金を寄付してもいい」という趣旨の発言をした。
どの自治体も寄付は強制でないと強調する。しかし、職場のトップに求められれば圧力を感じる人もいるだろう。加西市に至っては「ボーナス天引き」という寄付方法まで示している。
経済ジャーナリストの荻原博子氏は「特別職や議員は高い給与や報酬を得ているが、末端になればなるほど給与が安い。職員に寄付を求めるのは理解できない。しかも、市民に協力を求める前に職員に、と説明されれば、実質的な強制になりかねない」と指摘する。
さらに荻原氏は「役所の窓口は給付金などの申請や相談で大混雑し、まさに『三密』。最前線での職員には危険手当を出してもらいたい。職員に特別定額給付金の寄付を首長が求めるのはどうなのか」と怒った。
一方、元千葉県我孫子市長の中央学院大の福嶋浩彦教授(地方自治)は「何とか困窮者らの支援に金を回す手段を考えるという首長の思考は分かる。しかし、雇用している職員に、任意であっても寄付を求めるというのはどうなのか。私ならやらない」と語った。
理解を示しつつも否定的なのは、寄付という手段に「ずるさを感じる」からだ。福嶋氏は「困っている市民を支援する財源が足りないのならば、職員も含めて給与を減らして充てるべきだ。市の特別職も市議も職員も、新型コロナで給与や報酬は減っていないのだから」と語った。
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