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EU、コロナワクチン確保量の5%を貧困国に寄付も=草案 - ロイター

[ブリュッセル 14日 ロイター] - 欧州連合(EU)がこれまで確保した新型コロナウイルスワクチンの5%を貧困国に寄付する可能性があることが、ロイターが確認した内部資料で明らかになった。EUの単独行動は、世界保健機関(WHO)が主導するコロナワクチン共同購入・配分の国際的な枠組みを骨抜きにする恐れがある。

12月14日、欧州連合(EU)がこれまで確保した新型コロナウイルスワクチンの5%を貧困国に寄付する可能性があることが、ロイターが確認した内部資料で明らかになった。写真はブリュッセルのEC本部で10日撮影(2020年 ロイター/Yves Herman)

EUのワクチン寄付計画は、フランス政府が草案を作成。EUはこれまでワクチンに余剰が出た場合の選択肢としてのみ寄付を検討してきたが、今回、寄付の明確な目標が初めて設定された。

一方、WHOなどが主導するワクチン共同購入・配分の国際的な枠組み「COVAX」は来年末までに、世界各地の最貧困層の少なくとも20%に20億回分のワクチンを届けることを目標に据えている。

仏政府の案では、EUは最終的に貧困国に最大6500万回分を寄付する可能性がある。実施には、EUの27加盟国の合意が必要。

資料によると、この量はEUが6件の事前購入契約を通じてこれまで確保した13億回分の5%に相当する。EUの契約先は米ファイザーと独ビオンテックの連合、米モデルナ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、英アストラゼネカと英オックスフォード大学の連合、仏サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)の連合、独キュアバック。

草案は、COVAXを活用して供給を優先すべき国を特定できるとする一方で、コストを減らすために実際の供給はEUの契約先のメーカーから貧困国の最も必要としている人々に直接行う必要があるとしている。ワクチンには「チーム・ヨーロッパ」の寄付というラベルが貼られるという。

EUが確保したワクチンを優先すべき人たちに寄付することは「短期的に、ワクチンを公共の利益にするという野心を果たすための最も効率的な方法のように思える」としている。

資料は、寄付されたワクチンによって、62の貧困国の医療従事者1600万人の接種が可能になると推計。これとは別に54の低所得国の医療従事者も、恩恵を受ける可能性があるという。

先進国がコロナワクチンの購入を急ぐ中、COVAXの枠組みでの調達は難航してきた。EU加盟の国々はCOVAXに資金を拠出しながらも、COVAXが定める供給量の制限を回避するために実際の購入は同枠組みの外で行ってきた。

仏政府が提案しているワクチン寄付計画も、貧困国に余剰ワクチンを分配するCOVAXの仕組みは使わない可能性がある。

WHOとともにCOVAXを主導するワクチン普及のための国際組織GAVIの広報担当者は「COVAXは余剰ワクチンを世界で公平に共有するための最も効率的な仕組みで、われわれはワクチン寄付を機能させるための条件について、EUを含む提供側と協議している」と述べた。

EU加盟国のワクチン政策を調整する欧州委員会とフランス政府は、コメントを控えた。

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