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イランの混迷 中東での核ドミノの可能性を分析する - 現代ビジネス

ハメネイ師を頂点とするシーア派の法学者らへの不満

イランからウクライナ機に向かって最初のミサイルが撃たれた約30秒後、2発目のミサイルが発射された様子がはっきりと映った映像が出てきたことで、「ウクライナ機に発射されたミサイルは1発」と説明していたイラン政府への欧米の不信感がさらに増した。

また、最初は否定していたウクライナ機撃墜を 2020年1月11日に認めたことで、イラン国民の怒りがアメリカから、一転して、イラン政府に向かった。

「嘘つきには死を!」と最高指導者ハメネイ師への糾弾も叫ばれる程、イラン国内での緊張感も高まっている。

さらに、核合意からの離脱「第5弾」を表明したイランに対し、欧州の態度も硬化した。国連制裁の再開への動きが始まったことで、イラン情勢が中東をさらに不安定にし、核ドミノやテロ、難民の急増につながる可能性が高まってきた。

1月8日、ウクライナ機が撃墜され、176人が死亡した。当初イラン人の被害者は82人とされた。しかし、カナダ人 63人のうちほとんどがイラン系カナダ人だと判明した。彼らは故郷に帰り家族や友人と旧交を温め帰国する途中だった。

革命防衛隊は8日には誤射を把握していたにもかかわらず、政府に伝えたのは10日。
政府が、誤射を認め、国際社会とイラン国民に謝罪したのは 11日だった。若者たちの怒りは、多くの同胞を殺害しながら、発表まで4日もかかった政府の「隠蔽体質」に向かった。

イラン政府は当初「墜落の原因は機体のトラブルとみられる」「原因究明には1〜2年かかる」としていた。しかし「アメリカがイランに濡れ衣を着せて、心理戦の材料にしている」という主張は、脆くも崩れた。

SNSなどを通じて集まった学生らはテヘラン中心部の広場や路上で、ソレイマニ司令官のポスターを破り捨て、「嘘つきには、死を!」「聖職者は消えろ!」などとの抗議活動につながり、テヘランだけでなく、シラーズやイスファハンといった地方都市にも広がった。

また、イラン国民の怒りは、2月21日に予定される国会議員選挙で、多くの国際融和派や人権派の候補が、立候補の資格を取り消されたことにも起因する。

photo by Getty Images

宗教指導者で構成される「管理委員会(Guardian Council)」は、1000人以上の候補の資格を認めなかった。これにより、国民だけではなく、政府内部での亀裂が明らかになりつつある。1000人のうち90人は現職議員でもある。

ロウハニ大統領は、「これほど多くが資格を取り消されれば、1万3000人の立候補者のほとんどが一つの党に属することになり、『一党独裁』に近づき、国民の怒りを煽ることになる」と発言した。出馬が認められたのは、ほとんどが「強硬派」であり、外国との対立が深まることも懸念される。

経済制裁で国民の生活は窮乏しているが、既得権益を持つ宗教財団は、制裁下でも甘い汁を吸っていると、かねてから批判されてきた。
若者たちは、今回の選挙でも、この体質が変わりそうにない事にも怒りを抱いている。

この不満は社会に広く広がり、イランで初めてオリンピックの金メダルを受賞したテコンドーのキミア・アリザデさんはイランからの亡命の意思を示した。また、映画監督マスード・キミアイ氏や歌手・俳優などがボイコットを行なっている。

学生や若者が抱いているのは、ハメネイ師を頂点にするイスラム教シーア派の法学者らによる支配体制自体への不満だ。

イランの平均年齢は、31.1歳(2018年調べ)。
1979年のイスラム革命以降に生まれた若者たちにとって、宗教的な縛りで自分の未来が制限されていることへの不満が募る。インターネットで海外の自由な世界の情報が流れる現在、その傾向は強まっている。

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January 23, 2020 at 04:03AM
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